ドラッカー経営学入門④事業の目標

事業の定義は目標に具体化しなければならない。そのままではいかによくできた定義であっても、優れた洞察、よき意図、よき警告にすぎない。

マーケティングの目標
マーケティングの目標においてもっとも重要なのは
集中の目標
市場地位の目標
である。

①集中の目標
集中についての目標があって初めて、「われわれの事業は何か」との問いに対する答えも、意味のある行動に換えることができる。

②市場地位の目標
市場において目指すべきは最大ではなく最適である。

イノベーションの目標
これは「われわれの事業は何であるべきか」の問いに対する答えを具体的な行動に移すためのものである。以下の3種類のイノベーションについて考える必要がある。
①製品とサービスにおけるイノベーション
②市場におけるイノベーションと消費者の行動や価値観におけるイノベーション
③製品を市場に持っていくまでの間におけるイノベーション

経営資源の目標
経営資源とは物的資源、人材、資金である。人材と資金の獲得に関しては、「われわれが必要とする種類の人材を惹きつけ、引き留めておくにはわが社の仕事をいかなるものにしなければならないか」「銀行からの借り入れ、社債、株式などわが社への資金の投入を、いかにして魅力あるものにしなければならないか」を問わねばならない。

生産性の目標
企業の各部門のマネジメントや、企業間のマネジメントを比較するうえで、最良の尺度が生産性である。入手する経営資源じゃほぼ同じである。独占というまれな状況を別にすれば、いかなる分野においても企業間に差をつけるものはマネジメントの質の違いである。このマネジメントの質という致命的に重要ような要因を測定する一つの尺度が、生産性すなわち経営資源の活用の程度とその成果である。

社会的責任の目標
企業にとって、社会との関係は自らの存立にかかわる問題である。企業は社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その企業が有用かつ生産的な仕事をしていると見なすかぎりにおいて、その存続を許されているにすぎない。社会性に関わる目標は、単なるよき意図の表明ではなく、企業の戦略に組み込まれねばならない。

そして、目標を設定するためには以下に示す3つのバランスをとることが必要である。
①利益とのバランス
②近い将来と遠い将来との間のバランス
③ほかの目標とのバランスすなわち目標間のトレードオフ関係

最後に、行動が必要となる。「われわれの事業は何か、何であるべきか」を考え、目標を検討するのは行動のためである。その狙いは、組織のエネルギーと資源を正しい成果に集中することである。したがって検討の結果もたらされるべきものは、具体的な目標、期限、計画であり、具体的な仕事の割り当てである。

まとめ
●事業の定義づけ
     ↓
●目標(マーケティングイノベーション経営資源、生産性、社会的責任)の検討、設定
 →行動に移す