マルクス経済学入門⑧利潤率

はじめに用語の解説から。
費用価格:商品をつくるのにかかった費用。c+vで表せる。
利潤率:投資総額に対して利潤がどれくらい生まれるかという割合。m/c+vで表せる。

そして言うまでもないが、資本家は剰余価値そのものより、利潤率が大きいところに投資する。

次に利潤率を規定する3つの要因について。
資本の有機的構成
剰余価値
資本の回転度数

①について。剰余価値とは労働からしか生まれない。だから100を投資する際、cに60、vに40振り分けると
利潤率=40(m)÷{60(c)+40(v)}=40/100

またcに30、vに70とすると
利潤率=70÷(30+70)=70/100

つまり利潤率とは資本の有機的構成によって左右され、資本の有機的構成が高度化すると利潤率は減っていく。

②について。
剰余価値率とは労働者の生産性のことである。言うまでもないが剰余価値率が上がればvが一定でも利潤率も上がる。

③について。
資本回転度数とは一定期間内に何回生産活動を行えるか、ということである。一定期間内に多く生産活動を行えば、当然得られる利益も多くなる。

そして企業は利益を得ようとして特別剰余価値を追求する。その過程で資本の集中が起こり、資本の有機的構成が高まる。そうすると利潤率が下がってくる。

このように傾向的に利潤率は下がってくるのである。が、当然この利潤率低下に対する要因がある。ここで利潤率pとするとp=m/c+vだから(1)分母が減るか、(2)分子が増えれば利潤率は上がる。

(1)分母を減らす要因
不変資本の低価格化
生産費用が少なくなるため、分母のcが減る
貿易
より安い生産手段が変えるようになりcが減少、労働者の消費手段も安く買えるようになり、vが減少する。
相対的過剰人口
相対的過剰人口の存在は労働力の供給を増やし、労働者の給料を引き下げる。=vの減少

(2)分子を増やす要因
絶対的剰余価値の拡大
給料をそのままで労働時間を増やすと、剰余価値は上がる。つまりmが増える。
相対的剰余価値の強制的拡大
労働力の価値どおりに賃金を払わないことで相対的剰余価値を高めることである。mが増加する。